ねずみ図書館

本を読んで、その内容を書き留めるためにブログを作りました。紹介させていただく本に興味を持っていただけると、とてもうれしいです。

82年生まれ、キム・ジヨン~今と昔の偏見が変わってきている

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現在、日本では少子高齢化が進んでいますが、その日本よりも出生率が低いOECD加盟国があるのをご存じでしょうか??

 

それは隣国の韓国です。

 

世界的にも韓国の合計特殊出生率は最も低いグループに属し。2019年基準で、経済協力開発機構OECD)加盟国38カ国のうち、韓国が唯一の0台の合計特殊出生率を記録しています。出産経験のある女性の第1子の出産年齢も、韓国は32.2歳(2019年基準)で加盟国の中で最も高い水準にあります。

 

さて要因はなんでしょう。受験競争が激しい事で知られる韓国は、きっと教育費用が高騰していて、だから出生率が低くなるに違いないと思っていましたが、この本を読むと少し考えが変わります。

 

 

主人公であるキム・ジヨンは女性としての生き辛さ感じながらも、必死に勉強して入った大学から就職への壁にぶち当たります。

 

 

結婚・出産で会社を辞め、社会から切り離されていくような気持ちを抱える日々、そして再就職への困難な道――。女性なら誰もが感じたことがあるであろう場面を積み重ね、ジヨンの人生は描かれています。

 

 

あとがきに書かれていた言葉を少し紹介しましょう。

今も日本・韓国にも悲しい事ですが、やはり性への偏見は残っています。しかし、偏見の理由が少し変わってきているのでは無いかという内容です。

 

 

昔は優劣で語られる事が多かった性別への偏見ですが、現在は「特別扱いを受けている」という、疑念が性差別へ向かわせているのではないかという分析がありました。

 

 

韓国では、男性は若く遊びたい盛りに徴兵があります。「何故、俺らだけ?」という気持ちが根幹にあるのでは無いかという分析は面白いなぁと思いました。

トランプ大統領もそうですが、「なんで移民は特別で、俺らはこんな生活をしてるんだ!!」という感情は誰もが持つ可能性があるし、扇動しやすい部分かもしれません。

 

 

この「劣っている」という考えかたでは無く、「特別扱いを受けている」という自分を卑下するような話を太宰修が100年以上前に書いているのをご存じですか??

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筑摩書房ヴィヨンの妻」の中に「男女同権」という作品があります。

この物語では、幼いときには母にいじめられ、大きくなっては知り合った女性にことごとくだまされ、そして虐げられ続けた老詩人が、男女同権になって初めて女性と同じ権利を得たと凱歌を挙げます、太宰治が時事問題をテーマにした希な作品です。



「民主主義のおかげで、男女同権! これ、これが、私の最も関心を有し、かつ久しく待ち望んでいたところのものでございまして、もうこれからは私も誰はばかるところなく、男性の権利を女性に対して主張する事が出来るのかと思えば、まことに夜の明けたる如き心地が致しまして、おのずから微笑のわき出るのを禁じ得ないのでございます。(男女同権)」

 

 

今日はこれにて~