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休職中の刑事、本間俊介を通して、関根彰子が婚約者の前からいなくなった理由を、足跡を遡りながら紐解いていくという小説です。
現代社会人の多くは、「良い暮らし」を求める事で仕事を続けることができ、手に入れるこで幸せを感じます。
関根彰子はそんな憧れを求めて、そして被害にあった一人です。これはバブル以降の日本を描いた作品ですが、今読んでも実に面白い。
スマホ決済、リボ払い、簡単に借りられるカードローン等、現代は手段を選ばなければ簡単にその「良い暮らし」を買い求める事ができます。
関根彰子は僅かなカード払いから借金地獄に、そしていよいよ最後は同じく借金に苦しむ同条件の女性に殺されてしまいます。
殺した側も借金から逃れる為に、違う名前が欲しかったのでしょう・・・
これは昔のお話ではありません。現在進行中の話です。
私は金融関係で働いていますが、住宅ローンの可決率は異常です。
頭金0でローンが通る時代、そして年収の7~8倍のお金を借りられる時代、主人と妻が連帯保証までして家を買わないといけない時代。
はっきり言って異常です。
住宅ローンの時には借入状況を確認しますが、住宅ローン以外の借入も非常に多い様に思います。
みんな当たり前に良い暮らしをしている様に、見えるけどそれはファイナンスで支えられているからです。だからみんな家を買っているし、良い車に乗っているから自分も買わないといけないと思う必要は全くないと思います。
最近の若い方は、物を所有しないようですね。車も家もいらない。
おそらくエリートサラリーマンには「何が楽しくて生きてるの?」と言われてしまいそうですが、寧ろそれは正常である様に思います。
本当に必要な物だけあって、それを大切にできれば良い。
自分が大切だと思うえるものを、ずっと大切にできる生き方の方が素敵だと思います。